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心の中に咲き続ける花

 草原に金木犀が自生していました。小さな花弁が満開で、四方に甘い芳香を放っています。あなたは小株を一本根からもぎ取り、大きめの木は小枝を切り取ってもち帰りました。

 金色に耀く小枝も根の付いた樹木も、その時あなたのものとなりました。しかしやがて小枝は枯れ、醜く萎れゴミと化しました。鉢植えした金木犀の方は、歪みねじれ窮屈そうに縮こまっています。

 花の生命力や美しさ、香りと色彩を心にとどめたならば、あなたの心の中で花は一生咲き続けます。感じる心があれば、花を摘み取ることがなくても、生涯に渡って花を心に飾ることができるのです。しかし自分のものにした時から、ある花は枯れ、ある樹花は大らかさや自然の息吹を失ってしまうのです。


もっと、もっとの儚い人生

 私たちは長い間、モノを持つことに拘った生き方をしてきました。高価なモノを持つと、更により値打ちのあるブランド物が欲しくなります。こうして見栄や虚栄が心を支配します。そして今度はそのモノが、偽物でないかと疑ったり、盗まれたり壊れないかと心配します。他人が更によいモノを持つと妬んだり嫉妬します。

 欲望には限度がありません。“もっと、もっと”を繰り返しているうちに、短い人生は物質的欲望の奴隷となって、不平、不満、苛立ちの生涯を終えます。

 このような、モノに取り付かれた人生が、わが子も自分の所有物だと錯覚させるのです。自分が叶わなかった夢を子どもに強要します。世間に対する見栄で争わせ競わせ、塾や習いもの漬けの生活を子どもに押し付けます。

 高成績、高学歴、有名校、一流企業、高級生活というレールに無理やり乗せようとします。もうこの価値観は、二十世紀で終焉したことにも気付いていないのです。


受験教育が歪んだ子をつくる

 我が子だけがよくなればいいという教育観は、エゴと欲望中心の子どもを創ります。親の価値観の強要は、心の歪みや反発のもととなり、引き込もりとその反対の暴力を生みます。

 親をないがしろにしたり、暴力をふるったり、はては肉親を殺す子ども、心を閉ざし働くことも学ぶこともしない子ども、非行や凶悪犯罪に走る子ども、性犯罪や薬物におぼれる子、これらは親のエゴによる間違った受験戦争がもたらしたものといって過言ではありません。

 それでも、この知識一辺倒の教育が、子どもの将来にプラスになっている間は救いがありました。しかし知識は、コンピュータが代役を務め、より優秀な役割を果たすようになりました。一般的な枠を超えない単なる知識は、必要とされない時代を迎えたのです。


知識ではなく感性教育を

 その反対に、コンピュータができない機能が求められるようになりました。コミュニケーション力、判断力、想像力、創意、工夫、アイデア、交渉力、意欲などが今何よりも求められています。これらは学校でも塾でも教えられない課題です。今企業は即戦力を求めています。販売でも技術でもすぐ役立つ人材が欲しいのです。社員教育によってじっくり育てるゆとりがなくなってきました。たとえ、教育訓練のシステムがあっても、心の問題は厄介で難しいから手のつけようがありません。何故なら目に見えない領域だからです。

 “やる気を出せ”“もっと積極的に働け”“お客に心からの誠意を示せ”とはいっても、どうしたらやる気、積極性、意欲、誠意を引き出せるかわからないのです。心の問題はどれだけ技術が発展しても、ハードウェアが受け持つことはできません。それは人と人の関係、人間の心の領域です。そして心がモノに支配されている状態では、自分の心ですら自由にコントロールすることができません。


感性を開放する

 感性を解き放つと、私たちはモノの囚われから自由になります。人格の向上をめざし、人々の幸せを願いながら自分の人生を築いていった時、初めて私たちはすべての囚われから脱皮できます。

 “モノを持つ”という様式から、人間としていかに“ある”かという様式に転換したとき、私たちは大いなる人生に目覚めます。持つことや富が悪いのではありません。モノ、富、名誉欲などに支配されることが悪いのです。

 金銭は豊かな人格を築くための手段です。その手段が目的となって、非情で冷酷、傲慢で我欲の強い人間になっては、あまりにも侘しすぎます。

 十九世紀は技術、専門知識、開発の時代でした。二十世紀は人間の欲求をベースに、より多く所有することが人生の目的でした。欲望を駆り立て、貪欲なまでに富やモノを持つことを目標にしてきたのです。

 二十一世紀は、これらすべてを清算し人間の使命に立ち還る時代です。私たちがこの世に生まれてきた目的は、誰もが幸せになるためです。人間は社会的な動物ですから、他人が幸せになることで自分も幸せになれる存在です。


歴史の転換期

 地球全体や社会、周りの人のために尽くしていく中で、自分の幸せを求めていくのが人間の役割です。同時に、人間は最も不完全な状態で生まれてきた存在ですから、人格の完成をめざして生涯努力する使命があります。

 私たちは、人間のこの使命を自覚しコツコツと学び続ける仲間の集まりです。その学びが、知識を集めることで安心することだったり、自己満足のためのものなら、それは精神の欲望を満たすだけです。

 正直に謙虚に学び、学んだことを社会に還元し、少しでも世の中に役立つために知識は使われるべきです。

 私たち一人ひとりが根本から変われば、世界も根底から変わります。その時人類の前史が終焉します。食べるために働くことやモノを持つことから解放されます。争いや差別、不当な虐待や飢えから解き放たれます。

 二十一世紀は歴史の転換期です。そしてあなたは歴史を変革する、時代の主人公です


                                   有限会社ジプト  (心の塾)
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